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動き出した象を追いかけて

SFCで学び、DeNAで働き、医学生。

医学部の面接対策で大切だと思うこと

医学部受験 つらつら

先週は少し現実逃避の旅に出ておりました。今日は、2次面接が終わった大学も多いと思いますが、個人的に面接対策について思うことがあるので書いていきます。

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予備校の講座を使った練習も良いと思うのですが、無思考な受験生を生み出すことや間違ったことを教える予備校も多いと感じています。なので、今回は、

「面接で見られていること」

「面接対策の考え方」

「インプット&思考整理の仕方」

「質問のタイプ別の準備」

を軸に進めていきます。最後に個人的な注意点や開始時期についての考えも記したいと思います。

 

面接で見られていること

まず、医学部の面接試験には大きく2種類あると考えられます。

  1. 不適合な受験者を精査する(ネガティブな試験)
  2. より適した受験者を選抜する(ポジティブな試験)

1は一般受験のほとんど、2は学士編入やAO入試が該当し、それによって面接で求められている事項は大きく異なると思います。

 

1のパターンですが、医学部に入学すると医師としての素養に大きく欠けるように思える人物に遭遇します。例えばコミュニケーション能力が低かったり、学力や学習意欲が著しく低かったりです。こうした人物は臨床能力や医学部生活、国家試験合格を考えた上で比較的適さないと考えられます。

多くの医学部では入学した学生がストレートで国家試験に合格することが大切であり、それを実現しうる学生を入学させたいのが本音だと思います。ほとんどの医学部はこれに当てはまり、一部の国公立医学部は研究などの素養を持ちうる学生も求めています。

この場合は、他の学生と差をつける面接ではなく、不適合な受験者を不合格にするのが主な目的で質問はそこまで深くなく、質問はコミュニケーションがそこそこ取れるかを確認するためのものです。大学によるかもしれませんが、1次試験の結果を大きくひっくり返すのはなかなか難しいように思います。

 

次に2のパターンですが、学士編入やAO入試、一部の国公立医学部では、入学させたい学生は1のパターンとは異なります。

国家試験にストレートで受かってもらうことは前提として、プラスアルファが求められることがしばしばです。求められることは大学によって異なりますが、「研究者を育てたいから研究のバックグラウンドがある人が欲しい」、「医学部は狭い世界であるがゆえに多様な経験をしている人が欲しい」、「将来的に医療のフィールドで変化を起こせるような人が欲しい」などです。

この場合はベースとなる学力を前提として、より理想に合う思考・経験・コミュニケーション能力などを見定めているはずで、1次試験の点数をひっくり返す可能性が大いにある試験だと思います。(一般受験においても、いわゆるコネがある受験生が1次を実力で突破した場合に2次でゲタを履かせる場合、もしくは普通の受験生がよほどお眼鏡に適う回答をした場合に1次の成績が逆転する場合があるかもしれません)

 

面接対策をする上での考え方

試験対策をしている人の中には迷走している人もいますが、基本的には以下のポイントが重要だと考えています。

1. 受験校の面接の形式、意味合いを把握する

相手を知らずには戦略も準備も立てられません。受験校の面接の形式が、面接・プレゼンテーション・グループディスカッションetcなのか、それぞれの時間がどれほどなのかなどを把握する必要があります。

これはネット・面接情報本・予備校の情報などで集めるしかありませんし、多少のコストを割いてでも集めるべきだと思います。形式が変わる場合もありますが、面接はそこそこ緊張するので事前に形式を知っておくだけでも心持ちがだいぶ楽になります。

2次の意味合いも把握することが大事です。前の章で記したように、不適合な人を精査するための面接なのか、より適した人を選抜したい面接なのかといった意味で、その点については前の章で記しておりますので、詳細は省きたいと思います。 

2. 形式や質問内容に対するインプットとアウトプットの想定

付け焼き刃の問答を作る人もいますが、面接の緊張した状態で質問を少し変えられたり、回答を深掘りされるとパニック状態に陥る場合があるように思えます。加えて、腹の底から思っていない物事をいかにも思っているように話すクセが付いてしまうので、入学後のキャリアを考える上でもオススメ出来ません。

そのため、どう出られようともその場で対応できるように、自らの考えを持っておくことが大切で、そのためのインプットや思考をしていくことになります。

詳しくは次の章で書きたいと思いますが、質問が自分のこと・医療のことなのか、形式が面接・プレゼンテーション・グループディスカッションなのかで、アウトプットは大きく異なるのでそこを留意しながら、ある程度普遍的な能力を得れるインプットをしていくのがオススメです。 

3. 繰り返しの練習

繰り返しの練習は大事だと自身の経験からも感じました。これを聞かれたらこう答えようという脳内トレーニングをしてても効果はそこまで低く、実践に似たシチュエーションでアウトプットをすることで、準備が不足している点を把握出来るのは勿論、時間の使い方・話し方・相手との間合いなどを経験値として高めることが出来ると思います。

この点については、予備校などの実践講座(講義ではなくて、実際に面接練習が出来るもの)が有効だと感じます。しかしながら、ただ練習だけを行ってもあまり意味がないので、1と2を通してインプット&思考整理をしてから、実践的な練習でそのアウトプットを行うのがよいと考えます。

 

インプット&思考整理の仕方

各論に入る前な前提となる部分を述べていきたいと思います。

基本となるであろう流れは以下です。

1. 形式や想定される質問を把握する

2. 必要となる知識をインプットする/自分の考えを洗い出す

3. 自分の意見を「端的に」作り込む(回答)

4. 意見から考えられる質問とその回答を「端的に」作る(回答に対する質問への回答)

 

この流れにおいて、よくありがちなミスが、「知識をつけて終わり」「深掘りされると焦る」「回答を詰め込みすぎる」パターンです。

 

例えば、

面接官「医療費の増大についてどう思うか」

受験生「右肩上がりで年間40兆円で、高齢者の増加に伴って今後も増えていくと考えられる大きな問題です。医療費の削減をしていくべきです。」

これは知識(現状)を話しただけで、受験生が勉強したことは伝わりますが、なんの意見も言っていません。回答になっていない上に自分で考えていないので「君の意見は?」「具体的には?」と深掘られると相当焦ると思います。

受験勉強の多くは求められる答えを導くものなので仕方ないのですが、面接は情報を処理して、自らの考えを導くことが大切になります。

 

知識をつけたうえで、そこに対する自分の意見を持つことが大切です。今回の件であれば、医療費の増大という知識に対して、どうするのがよいのか自分で考えて、高尚でなくとも意見を持った方がよい(それで十分)と思います。

例えば、予防や早期発見が大事かもしれないと思えば、さらに予防や早期発見について調べて、職場でのメタボ健診や子宮頸がんなどの早期発見の推進などが有用そうだという考えに至ることができます。そうすれば、

受験生「右肩上がりで年間40兆円で、高齢者の増加に伴って今後も増えていくと考えられる大きな問題だと思います。予防や早期発見に力を入れることで解決を図っていくべきだと思います。」

面接官「具体的には?」

受験生「職場でメタボ健診、子宮頸がんなどの早期発見を推進していくことが大切だと思います」

面接官「どうして?」

受験生「病気になるのは経済、家族にも悪影響なので、いろいろな施策の中でこれが大事だと思いました」

解決するための施策は数多考えられるなかで、月並みな意見(高尚でなくてよい)でも有用そうな施策の1つであり、面接官も合格点をあげるやり取りになります。

この時に注意したいのが、あれもこれも詰め込まないことです。勉強してきたアピールをしようと中途半端な知識を詰め込めば、意見が冗長になりますし、深掘りされると困ります。採点側の面接官は聞きたいことがあれば深掘りしてくるはずなので、回答がたくさんあろうと端的に答えましょう

 

質問のタイプ別の準備

質問には大きく3パターンあり、それぞれの準備法を述べていきます。

1. 自分のこと(志望動機、経歴、理想の医師像、強み弱みなど)

自分の過去・現在・未来を素直に整理し、想定される質問に対する回答を端的に作っていくのがよいと思います。

自分も医師を志望する明確な理由(キレイなストーリー)がなく苦労した部分ですが、明確な理由(幼い時に病気だった、家族を癌でなくした)を持っている受験生は少数派で、なんとなく医師になりたいと思い(親が医師、人助けがしたい)医学部を受験している受験生が大半だと思います。なので、無理やり志望動機を作ったり、動機を誇大することなく、ありのままを素直に伝えればよいと思いますし、そちらの方が自然体で話せるかつ、面接官も医学生だったわけですから好意的に受け止めるのではないかと思います。

これについては過去に記事を書いたので、参考になればと思います。

明瞭な志望動機は必要か - 動き出した象を追いかけて

 「医師」でないといけなかったのか - 動き出した象を追いかけて

2. 医療のこと(医師不足、倫理問題など)

これは前の章で述べた方法と同じなので詳細は省略します。

ただ本やニュースを漫然と漁るのではなく、主なトピックを洗い出す→各トピックについて本やニュースで調べる→トピックに対する意見を持つ→意見に対して考えられる質問と回答を深掘るという作業がよいと思います。

そこまで深く知っておく必要もないと思うので、予備校が出している薄い医療トピック集でインプットして、あとは考えを深める方に時間を費やすことをオススメします。


3. その他(オリンピックの賛否、トランプ大統領への意見のような時事問題など)

これは対策する費用対効果はとても薄いと考えます。

このような質問をしてくる場合、詳しい知識を問うというよりも、「一般常識や倫理的に逸脱していないか」「論理的に話せるか(主張の要約→理由→簡単な具体例)」が大切だと思います。

例えば、思っていたとしても「中東はテロリストが多くいる国家だからトランプ大統領はもっと引き締めを行うべきだ」といったような過激な意見を言わないことが大事かと思います。(自分の意見でないと言われるかもしれませんが、医療現場では医師の私見や感情を抑えなければならないことも多々あるはずです)

 

最後に

ちなみに自分は、1次試験の結果が出てから対策をしていました。勉強のやる気/集中が欠けた時など日常的に少しずつ進めるのもよいと思います。自分は2次試験の前や受験シーズンは疲れて、あまり勉強が捗らないタイプなのと、対策は数日あれば事足りると思っています。

 

最後に自分のメモを紹介します。

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自分はこのようにまとめていました(今思うと不完全です)。話すことを丸暗記するのではなく、箇条書きにまとめていました。

この時に気をつけていたのは、以下の4点です。

 

「優先順位付け」→詰め込み型にならないように言うことを削除する勇気も必要

「端的に答えること」→長い詰め込み型の回答は何人も面接する面接官は嫌。1度目の質問ではこれを答えて、さらに質問されたらこれも答えようとイメージ

「素直であること=大きな矛盾がないこと」→素直でない偽りならば面接中に矛盾が生まれるはず

「相手に理解できること=常識からの逸脱、論理の飛躍がない」→伝えると伝わるは違うし、初対面の相手に自分のバックグラウンドはない

 

例えば、「東京にあるIT企業で○○年間、遺伝子検査の立ち上げに○○の立場から携わり、具体的に○○いました」と答えるのは長く冗長ですし、1回のやりとりで会話が終了してしまいますが、「IT企業でヘルスケアの仕事をしていました」であれば、自己紹介になりますし、さらなる質問をテンポよく引き出せます。(さらなる質問がなければ、採点官である面接官は他のことを聞きたがっている証拠で、ポイントにならないことを話す時間を削減できます)

 

最後にいつも勉強させていただいている医師でハーバードで研究されている津川友介先生の記事を紹介させていただきます。

これから求められる医師像とは―最適な医療サービスを提供する 健全なコスト意識が必要に – 医療政策学×医療経済学

 

医学部の面接対策としては抜け漏れだらけですし、考え方は1つでないと思いますが、参考になれば幸いです。質問があればコメントなどでいただければと思います。