動き出した象を追いかけて

SFCで学び、DeNAで働き、医学生。

アビスパ福岡に学ぶ組織づくり

後期に入ってから座学はほぼなくなり、平日は朝から晩まで解剖と組織学(顕微鏡と格闘)で実習形式の講義です。社会人時代のそこそこ忙しい時期くらい疲れます。学生舐めてました。

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気分転換にJリーグ(FC東京アビスパ福岡町田ゼルビア)をよく観るのですが、サッカーにおけるチーム作りは一般的な組織作りに繋がる点が多いように思えます。むしろ本屋に並んでいる組織論の本よりも、サッカーは結果もプロセスも見えやすいので勉強になります。

今日取り上げたいのはアビスパ福岡。近年は経営基盤も選手層も安定せずにJ1とJ2を行き来するエレベータークラブでしたが、アパマン社が経営再建に乗り出してからは、新しく就任した井原監督の下で、過去にチームを支えた選手の復帰と着実な補強で躍進中です。

個人的にアビスパを応援するようになったのは、アビスパ一筋の城後に惹かれたのがきっかけでした。今シーズンは中村北斗鈴木惇、末吉といった過去のチームメイトが復帰したこともあり、城後の負担がよい意味で減ったように思えます。

アビスパ福岡に学べること

それは「理想像から組織を作ること」です。

組織作りは大きくふたつ、「理想像から作る」と「現状に沿って作る」があります。前者は理想とそれに向かう戦略を描き、その実行に必要なリソースを逆算していくものです。理想が地に足がつかずに空中分解したり、実現まで長い時間がかかるので困難です。後者は現状のリソースを最大限活かせるような戦略を描くものです。短期的な効果は見えやすいですが、やがて迷走することが多いです。

今年のアビスパ福岡は前者です。井原監督というリーダーのもと、目標を昇格争いと設定しました。攻守の切り替えや球際の激しさをベースとして、まずは守備ブロックを築き、奪ったら最前線に素早く攻めるのが戦略です。なるべくリスクを冒さずに最少得点で逃げ切るサッカーです。

はじめの困難

理想像から組織を作る場合、作り始めに地に足がつかないことが多いです。アビスパも今シーズンのはじめに3連敗を喫しました。守備的なサッカーはつまらないことが多く、攻撃の形が見えなかったことから多くの批判が飛び交いました。

批判に対するプレッシャーは大きなもので、始動時には「まずは信頼を得ねば」と信念ややり方を曲げてしまうリーダーも多い中で、井原監督は表情に出さず、動じることなく修正を加えていきました。

井原監督の目指すサッカーばかりが注目されますが、批判に動じずにやり続けようとする度胸こそがより評価されても良いはずですし、監督としてのポテンシャルだと思っています。

小さな成功体験から好循環を生み出す

開幕3連敗のあと、11試合負けなしと状況は好転します。自分が見る限り、チームとしては決して成熟していたとは思いませんでしたが、何試合か負けない試合が続くとある変化に気づきました。

それは頼りどころの存在でした。どんなに悪い流れでも守備ブロックを築き、球際で粘れば、いつかチャンスが訪れる。そんな思いが芽生えたように感じました。

小さな成功体験が少しずつ、大きな成功体験へと変わっていく好循環でした。

フロントの決断

好循環モードになったチームを後押ししたのはフロントでした。フロントが好調なアビスパをここぞとばかりに後押ししたことにより、アビスパはこれまでの戦術をより明白に磨きをかけるのはもちろん、その実現に必要なピースを手に入れました。

一番の英断はウェリントンの獲得だったと思います。デカくて強い上に、運動量が豊富なブラジル人の獲得はチームとしての本気を感じましたし、ハードワークからのショートカウンター&放り込みサッカーというスタイルを明確にした上に、ウェリントンをベースに磨きをかけました。

チームの骨格が明確になり、骨格の補強をしたことで、ちょっとやそっとでは崩れない力強さが現れました。ウェリントンへの依存はよい意味でも悪い意味でも日に日に増していますが、彼の存在により今のスタイルのもとチームが成長しています。

チームはもちろん今のアビスパは自信を持った選手たちがメキメキと成長しています。中村航輔、田村、濱田、亀川、金森といった若手はもちろん、城後や鈴木惇などのベテランのプレーも深みを増しており、個人とチームが数ランク上のレベルに到達しているように感じます。

ここまで来ると勝てばさらなる前進に繋がり、負けてもやっているサッカーに不安を抱くことはなく、修正点を改善していくことに注力できるのだと思います。

つらつらと書いてしまいましたが、理想からの組織づくりにおいては、

  • 初期段階における困難には多くの外圧もあるけれど、強いリーダーのもと耐える
  • 小さな成功体験を積む
  • 勝負所をみて、仕掛ける
というのが大切かもなと思った次第です。