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動き出した象を追いかけて

SFCで学び、DeNAで働き、医学生。

現地まで行ったサポがアジアカップをじっくり振り返る

日本代表 サッカー
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昨日、失意のアジアカップから帰国しました。と思ったらアギーレが解任されてました。

 
さて、ほぼ予想していなかった敗戦のショックで抜け殻のような状態でしたが、今回のアジアカップは真夏のオーストラリア開催ということが功を奏して、青空の下、ビーチでのんびりしながらエネルギーを満たすことが出来ました。
 
日本に帰国して思ったことがあります。個人的には「シドニーの悲劇」として正面から捉え、前に進むべき敗戦でもあったにも関わらず、嫌なことは都合よく忘れるかのごとく、アジアカップのことが話題になっていないように思えます。
「サポーターはどんな状況でも勝利を信じて、選手と戦うべきだ!」という意見もありそうですが、UAE戦に主眼を置いたアジアカップ、そして今後の日本代表について冷静に考えてみたいと思います。
 

UAE戦に勝てなかった理由

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多くの論者が様々な角度からこの論点について語っていますし、どの結論もその影響の大小は違えど、個人攻撃をしているもの以外はどれも間違いではないと思っています。
 
それらを留意した上で、個人的には2つの理由があると思います。
  1. チームの総合力を活かせなかった
  2. 研究された弱点を見事に突かれた
それぞれを深掘りする前に、あくまでも結果論であること、そしてサッカーにおいて負ける理由は「自分たちが本来の力を出せなかった」「自分たちより相手が優れていた」のどちらかであるという認識に立っていることを共有させてください。
 
まず、1つ目の「チームの実質的な総合力が低かった」です。
スタメンの固定だけでなく、交代選手の起用も限られていました。
短い期間に多くの試合をするトーナメントにおいては、疲労、怪我、相手の特徴、試合展開によるギャンブル的な采配など考慮することが多い故にチームの総合力が大事だと思っています。
 
また、メンバーの固定は安定をもたらす反面で、連戦による疲労による怪我やパフォーマンスの低下をもたらすだけでなく、相手にとって対策の練りやすいチームとなってしまいます。
結果的に長友、岡崎の負傷という形でに現れましたが、両選手はグループリーグ最終節のヨルダン戦でも動きが明らかに重かったこともあり、偶然の怪我とは言えないはずです。
実際にスタメンの11人に加えて、清武、武藤、柴崎、豊田、今野といった交代メンバー以外は信頼を得られていなかったように思えます。
とあるライターの方と話していたことなのですが、アウェイでメンバーを落として戦ったシンガポール遠征でのブラジルとの試合内容を見て信頼しきれなかったのでしょう。
 
比較的若いメンバーで臨んだオーストラリアや韓国とは異なり、日本は結果を求めていたこともこれに拍車を掛けたのだと思います。
こうした観点を見ると、主力はアジアで有数の強さですが、トーナメントで必要な総合力があったとは言えないでしょう。
 
 
次に、2つ目の「研究された弱点を見事に突かれた」です。
UAEが突いてきた日本の弱点は「サイドバックが上がって出来たスペースを埋める際のスライドにおける連携の難」です。
 
原則として、片方のサイドバックが上がった場合、近いほうのセンターバックが空いたスペースを埋め、もう一人のセンターバックと逆サイドのサイドバックがスライドすることでスペースを埋めつつ、相手のマークがズレないように受け渡しをします。
失点のシーンでは長友が空いたスペースを森重が埋め、吉田と酒井が左にスライドするところまでは原則通りでしたが、2つのミスがありました。
それは相手選手が前を向いてボールを蹴れる状態であるにも関わらず森重が前に動いてしまったこと、吉田が森重のカバーに入るのか中央のマーカーに付くのか曖昧な判断をしてしまったことです。
本来であれば、ボールホルダーへのアプローチが曖昧になっていたため裏を取られるリスクをなくすために森重は左にズレるだけで良かったし、吉田は中央のマーカーを酒井に任せて森重のカバーに行くべきでした。
これは結構微妙なジャッジが求められるため両センターバックの問題とするのではあまり意味がありません。むしろ失点の前にも2本ほどスライドが上手くできていなかったミスを突かれていたのにも関わらず、修正できていなかったことのほうが問題です。
 
一方の日本代表は相手のキーパーソンであるアブドゥラフマンに対するケアが漫然としていました。
ゲームの入りでは近くの人がしっかりと見つつ、試合の中でどのように抑えるかを決めるつもりだったのかもしれませんが、これは曖昧で対策とは言えません。
その曖昧さが、失点シーンのパスの出し手に対するアプローチの甘さを招いたとも言えます。
UAEは対策がハマっても押される試合展開になると考えていたと思いますが、日本がドタバタしている時間帯に弱点を突き、ひたすら耐えるという勝利の方程式がハマった形になりました。
 
また、PK戦での相手の落ち着きを見るに、PK戦に持ちこんで勝つというシナリオをイメージしていたのは明確でした。
 
決定力不足は?という方もいらっしゃると思いますし、この試合で数多の決定機を外したのは事実で「決めなければ勝てない」というサッカーの本質を『改めて』痛感しました。
しかしながら、『改めて』を強調したようにシュートの雨を浴びせても勝てないことは多々ありますし、逆にシュートの雨を浴びせられても勝つこともあります。
 

UAE戦に勝ったとしても優勝は難しかった

UAE戦に勝てたら優勝出来たんじゃないか。そんな錯覚に陥っているような気がしてなりません。
しかしながら、UAE戦に勝利していたとしても、その後の戦いは極めて厳しいものだったと予想できます。
というのも、対戦相手がオーストラリア、韓国とレベルが高くなっていき新しい選手を使うリスクを取りづらくなる一方で、固定メンバーが故の疲労の蓄積があったり、疲労による怪我人が出てくることでパフォーマンスが下がると考えられるからです。
 
やはりトーナメントでは自分たちがどこを勝ち進むのかを踏まえた上で、選手起用やそのサイクルを考える必要があります。
一方で、ヨルダン戦でメンバーを落とし、予選敗退になって可能性もあるので、そのさじ加減が監督やコーチ陣の腕の見せ所です。
 

アジアにおける立ち位置を意識した2018年に向けたチーム作り

こんなことを論じても、アギーレが解任になったことで代表の方向性が変わるのでは?という方もいらっしゃると思います。
しかしながら、個人的にはそこまでのチーム構築は進んでいないし、ベンチマークとしていたアジアカップが終わってから大きく作っていこうとしていたのではないかと考えています。
 
この手の議論をすると、「ワールドカップベスト8を見据えるべきだ!」というような意見を聞くことがありますが、個人的にはまずはアジア予選を勝ち抜くことを主眼とすべきだと思っています。
 
というのも、理由はこれから述べますが、アジアで堂々としていられる位置にいるとは思えないからです。(アジアカップの結果を受けての主張ではない)
 

チーム戦術や連携面を高めるということも重要ですが、代表はクラブと比べて一緒に練習する時間が短いこともあり、個々の力を高めることのほうが重要だと感じています。(確かにチーム戦術がハマる場合もありますが、戦術をコマに合わせている場合もあります。)

 
オーストラリアと韓国は比較的若いメンバーでアジアカップを臨みました。
何より若いメンバーは伸びしろが大きく、個々人のレベルアップが期待できますし、若いチームが死闘を経験したことでチーム全体がレベルアップしたと思います。
 
一方の日本は20代後半の選手も多く、次のワールドカップならびに予選を戦う上で、そこまでの伸びしろは期待できません。
 
こうしたことを考えても、ウカウカしていられる余裕はありませんし、中国や中東の国内リーグがめきめきと力を付けていることも拍車を掛けています。
こうした現実踏まえ、確度の高い若手の登用を行ってもらいたいなと思っています。
簡単に言うと、武藤や柴崎のようにリーグでも結果を残し、代表でもやっていけそうだと多くの選手が思う選手の登用です。
パッと思いつくのは、ガンバの宇佐美、FC東京の米本、湘南の遠藤、鹿島の昌子などを招集し、辛抱強く使い続けることで、風格が身についてくると思っています。
 
そのためにはリーグ戦にしっかりとコーチ陣を送り、多く正しくスカウティングすることが大事になってきますし、代表強化にウルトラCはありません。
 また、海外組は過密日程、長距離移動が大変なので、国内リーグで結果を残してもらうためにもしばらくお休みでもいい気がしています。
 

おまけ)わざわざ海外に応援しに行くことについて

長々と語ってしまいましたが、異国へと足を運び、独特の雰囲気のなかで愛国心を感じ、負けたら終わりの試合を声を枯らして応援する経験はこれまで味わったことのない気持ち良さがありました。
 
Jリーグのゴール裏で感じるチーム愛、国内での代表戦のお祭り感覚とは異なるものでした。
 
また、個人的には記事を拝読させていただいているライターの河治さん、村上アシシさん、原田さん、宇都宮さんなどとお会いし、アジアカップや日本代表について議論できたのはとてもよかったです。
 
このように試合はもちろんのこと、現地でのサポーターの交流も素敵な経験で、またリベンジしたいと思っています。