動き出した象を追いかけて

SFCで学び、DeNAで働き、医学生。

医学部の面接対策で大切だと思うこと

先週は少し現実逃避の旅に出ておりました。今日は、2次面接が終わった大学も多いと思いますが、個人的に面接対策について思うことがあるので書いていきます。

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予備校の講座を使った練習も良いと思うのですが、無思考な受験生を生み出すことや間違ったことを教える予備校も多いと感じています。なので、今回は、

「面接で見られていること」

「面接対策の考え方」

「インプット&思考整理の仕方」

「質問のタイプ別の準備」

を軸に進めていきます。最後に個人的な注意点や開始時期についての考えも記したいと思います。

 

面接で見られていること

まず、医学部の面接試験には大きく2種類あると考えられます。

  1. 不適合な受験者を精査する(ネガティブな試験)
  2. より適した受験者を選抜する(ポジティブな試験)

1は一般受験のほとんど、2は学士編入やAO入試が該当し、それによって面接で求められている事項は大きく異なると思います。

 

1のパターンですが、医学部に入学すると医師としての素養に大きく欠けるように思える人物に遭遇します。例えばコミュニケーション能力が低かったり、学力や学習意欲が著しく低かったりです。こうした人物は臨床能力や医学部生活、国家試験合格を考えた上で比較的適さないと考えられます。

多くの医学部では入学した学生がストレートで国家試験に合格することが大切であり、それを実現しうる学生を入学させたいのが本音だと思います。ほとんどの医学部はこれに当てはまり、一部の国公立医学部は研究などの素養を持ちうる学生も求めています。

この場合は、他の学生と差をつける面接ではなく、不適合な受験者を不合格にするのが主な目的で質問はそこまで深くなく、質問はコミュニケーションがそこそこ取れるかを確認するためのものです。大学によるかもしれませんが、1次試験の結果を大きくひっくり返すのはなかなか難しいように思います。

 

次に2のパターンですが、学士編入やAO入試、一部の国公立医学部では、入学させたい学生は1のパターンとは異なります。

国家試験にストレートで受かってもらうことは前提として、プラスアルファが求められることがしばしばです。求められることは大学によって異なりますが、「研究者を育てたいから研究のバックグラウンドがある人が欲しい」、「医学部は狭い世界であるがゆえに多様な経験をしている人が欲しい」、「将来的に医療のフィールドで変化を起こせるような人が欲しい」などです。

この場合はベースとなる学力を前提として、より理想に合う思考・経験・コミュニケーション能力などを見定めているはずで、1次試験の点数をひっくり返す可能性が大いにある試験だと思います。(一般受験においても、いわゆるコネがある受験生が1次を実力で突破した場合に2次でゲタを履かせる場合、もしくは普通の受験生がよほどお眼鏡に適う回答をした場合に1次の成績が逆転する場合があるかもしれません)

 

面接対策をする上での考え方

試験対策をしている人の中には迷走している人もいますが、基本的には以下のポイントが重要だと考えています。

1. 受験校の面接の形式、意味合いを把握する

相手を知らずには戦略も準備も立てられません。受験校の面接の形式が、面接・プレゼンテーション・グループディスカッションetcなのか、それぞれの時間がどれほどなのかなどを把握する必要があります。

これはネット・面接情報本・予備校の情報などで集めるしかありませんし、多少のコストを割いてでも集めるべきだと思います。形式が変わる場合もありますが、面接はそこそこ緊張するので事前に形式を知っておくだけでも心持ちがだいぶ楽になります。

2次の意味合いも把握することが大事です。前の章で記したように、不適合な人を精査するための面接なのか、より適した人を選抜したい面接なのかといった意味で、その点については前の章で記しておりますので、詳細は省きたいと思います。 

2. 形式や質問内容に対するインプットとアウトプットの想定

付け焼き刃の問答を作る人もいますが、面接の緊張した状態で質問を少し変えられたり、回答を深掘りされるとパニック状態に陥る場合があるように思えます。加えて、腹の底から思っていない物事をいかにも思っているように話すクセが付いてしまうので、入学後のキャリアを考える上でもオススメ出来ません。

そのため、どう出られようともその場で対応できるように、自らの考えを持っておくことが大切で、そのためのインプットや思考をしていくことになります。

詳しくは次の章で書きたいと思いますが、質問が自分のこと・医療のことなのか、形式が面接・プレゼンテーション・グループディスカッションなのかで、アウトプットは大きく異なるのでそこを留意しながら、ある程度普遍的な能力を得れるインプットをしていくのがオススメです。 

3. 繰り返しの練習

繰り返しの練習は大事だと自身の経験からも感じました。これを聞かれたらこう答えようという脳内トレーニングをしてても効果はそこまで低く、実践に似たシチュエーションでアウトプットをすることで、準備が不足している点を把握出来るのは勿論、時間の使い方・話し方・相手との間合いなどを経験値として高めることが出来ると思います。

この点については、予備校などの実践講座(講義ではなくて、実際に面接練習が出来るもの)が有効だと感じます。しかしながら、ただ練習だけを行ってもあまり意味がないので、1と2を通してインプット&思考整理をしてから、実践的な練習でそのアウトプットを行うのがよいと考えます。

 

インプット&思考整理の仕方

各論に入る前な前提となる部分を述べていきたいと思います。

基本となるであろう流れは以下です。

1. 形式や想定される質問を把握する

2. 必要となる知識をインプットする/自分の考えを洗い出す

3. 自分の意見を「端的に」作り込む(回答)

4. 意見から考えられる質問とその回答を「端的に」作る(回答に対する質問への回答)

 

この流れにおいて、よくありがちなミスが、「知識をつけて終わり」「深掘りされると焦る」「回答を詰め込みすぎる」パターンです。

 

例えば、

面接官「医療費の増大についてどう思うか」

受験生「右肩上がりで年間40兆円で、高齢者の増加に伴って今後も増えていくと考えられる大きな問題です。医療費の削減をしていくべきです。」

これは知識(現状)を話しただけで、受験生が勉強したことは伝わりますが、なんの意見も言っていません。回答になっていない上に自分で考えていないので「君の意見は?」「具体的には?」と深掘られると相当焦ると思います。

受験勉強の多くは求められる答えを導くものなので仕方ないのですが、面接は情報を処理して、自らの考えを導くことが大切になります。

 

知識をつけたうえで、そこに対する自分の意見を持つことが大切です。今回の件であれば、医療費の増大という知識に対して、どうするのがよいのか自分で考えて、高尚でなくとも意見を持った方がよい(それで十分)と思います。

例えば、予防や早期発見が大事かもしれないと思えば、さらに予防や早期発見について調べて、職場でのメタボ健診や子宮頸がんなどの早期発見の推進などが有用そうだという考えに至ることができます。そうすれば、

受験生「右肩上がりで年間40兆円で、高齢者の増加に伴って今後も増えていくと考えられる大きな問題だと思います。予防や早期発見に力を入れることで解決を図っていくべきだと思います。」

面接官「具体的には?」

受験生「職場でメタボ健診、子宮頸がんなどの早期発見を推進していくことが大切だと思います」

面接官「どうして?」

受験生「病気になるのは経済、家族にも悪影響なので、いろいろな施策の中でこれが大事だと思いました」

解決するための施策は数多考えられるなかで、月並みな意見(高尚でなくてよい)でも有用そうな施策の1つであり、面接官も合格点をあげるやり取りになります。

この時に注意したいのが、あれもこれも詰め込まないことです。勉強してきたアピールをしようと中途半端な知識を詰め込めば、意見が冗長になりますし、深掘りされると困ります。採点側の面接官は聞きたいことがあれば深掘りしてくるはずなので、回答がたくさんあろうと端的に答えましょう

 

質問のタイプ別の準備

質問には大きく3パターンあり、それぞれの準備法を述べていきます。

1. 自分のこと(志望動機、経歴、理想の医師像、強み弱みなど)

自分の過去・現在・未来を素直に整理し、想定される質問に対する回答を端的に作っていくのがよいと思います。

自分も医師を志望する明確な理由(キレイなストーリー)がなく苦労した部分ですが、明確な理由(幼い時に病気だった、家族を癌でなくした)を持っている受験生は少数派で、なんとなく医師になりたいと思い(親が医師、人助けがしたい)医学部を受験している受験生が大半だと思います。なので、無理やり志望動機を作ったり、動機を誇大することなく、ありのままを素直に伝えればよいと思いますし、そちらの方が自然体で話せるかつ、面接官も医学生だったわけですから好意的に受け止めるのではないかと思います。

これについては過去に記事を書いたので、参考になればと思います。

明瞭な志望動機は必要か - 動き出した象を追いかけて

 「医師」でないといけなかったのか - 動き出した象を追いかけて

2. 医療のこと(医師不足、倫理問題など)

これは前の章で述べた方法と同じなので詳細は省略します。

ただ本やニュースを漫然と漁るのではなく、主なトピックを洗い出す→各トピックについて本やニュースで調べる→トピックに対する意見を持つ→意見に対して考えられる質問と回答を深掘るという作業がよいと思います。

そこまで深く知っておく必要もないと思うので、予備校が出している薄い医療トピック集でインプットして、あとは考えを深める方に時間を費やすことをオススメします。


3. その他(オリンピックの賛否、トランプ大統領への意見のような時事問題など)

これは対策する費用対効果はとても薄いと考えます。

このような質問をしてくる場合、詳しい知識を問うというよりも、「一般常識や倫理的に逸脱していないか」「論理的に話せるか(主張の要約→理由→簡単な具体例)」が大切だと思います。

例えば、思っていたとしても「中東はテロリストが多くいる国家だからトランプ大統領はもっと引き締めを行うべきだ」といったような過激な意見を言わないことが大事かと思います。(自分の意見でないと言われるかもしれませんが、医療現場では医師の私見や感情を抑えなければならないことも多々あるはずです)

 

最後に

ちなみに自分は、1次試験の結果が出てから対策をしていました。勉強のやる気/集中が欠けた時など日常的に少しずつ進めるのもよいと思います。自分は2次試験の前や受験シーズンは疲れて、あまり勉強が捗らないタイプなのと、対策は数日あれば事足りると思っています。

 

最後に自分のメモを紹介します。

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自分はこのようにまとめていました(今思うと不完全です)。話すことを丸暗記するのではなく、箇条書きにまとめていました。

この時に気をつけていたのは、以下の4点です。

 

「優先順位付け」→詰め込み型にならないように言うことを削除する勇気も必要

「端的に答えること」→長い詰め込み型の回答は何人も面接する面接官は嫌。1度目の質問ではこれを答えて、さらに質問されたらこれも答えようとイメージ

「素直であること=大きな矛盾がないこと」→素直でない偽りならば面接中に矛盾が生まれるはず

「相手に理解できること=常識からの逸脱、論理の飛躍がない」→伝えると伝わるは違うし、初対面の相手に自分のバックグラウンドはない

 

例えば、「東京にあるIT企業で○○年間、遺伝子検査の立ち上げに○○の立場から携わり、具体的に○○いました」と答えるのは長く冗長ですし、1回のやりとりで会話が終了してしまいますが、「IT企業でヘルスケアの仕事をしていました」であれば、自己紹介になりますし、さらなる質問をテンポよく引き出せます。(さらなる質問がなければ、採点官である面接官は他のことを聞きたがっている証拠で、ポイントにならないことを話す時間を削減できます)

 

最後にいつも勉強させていただいている医師でハーバードで研究されている津川友介先生の記事を紹介させていただきます。

これから求められる医師像とは―最適な医療サービスを提供する 健全なコスト意識が必要に – 医療政策学×医療経済学

 

医学部の面接対策としては抜け漏れだらけですし、考え方は1つでないと思いますが、参考になれば幸いです。質問があればコメントなどでいただければと思います。

どこもかしこも人手不足

テストも終わり、しばらくの春休みになりました。

WELQ問題が起きてから、量産型のキュレーションメディアでない医療メディア(日○メディカルとか)が「我々は彼らとは違う」風の発言をしています。確かに悪質性は「低い」と思いますが、書いてることが間違ってるだろうと思うこともあります。

今回の件は悪質性に加え、正確性の低さも問題となったわけで、悪質性が低かろうと正確でないのであれば問題であると認識すべきだと思っています。

 

前置きは置いといて、自分はよく外食をするほうなのですが、最近感じるのは「人手不足」です。飲食店は全てとは言いませんが人手が足りてないところが実に多いように感じます。

最近不満を覚えることが多いので、1人の客の感想として(、不満のぶつけどころとして)、言いたいことと具体的な経験をお店の名前付きで述べたいです。

 

この記事で言いたいこと

1. やっぱり不況なのでは

数年前と比較して、飲食店の人手不足は明らかに進んでいる気がします。人を減らすという手段が容易なコストカットですが、火の車な状況が浮かび上がってきます。

 

2. 明らかに人手不足を感じる店はリピーターしたくない

特にウエイターさんがいるお店で人手不足だと、こちらも落ち着かないですし、イライラが募ります。食にストレスを覚えるのは嫌なので、その店への足は遠のきます。コストを減らしたいが故の人手不足のケースは、リターンも減らしているように思います。

 

3. 近くの系列店に人出の多さで勝てるのではないか

隣駅の系列店が人手不足でサービスが悪いなら、その隣駅の系列店が人手を確保していて、サービスがいいならそっちに行きます。

 

4. スキルの大切さ

鬼のように働いている飲食店の方々を傍らに、バイト募集の広告を目にします。高いとは言えない時給で、専門的なスキルを持って、稼げることはとても大切な事だと感じました。

 

自分が経験した具体例

いきなりステーキ

休日の昼時でお店はほぼ満員なのに、フロア担当のウエイターさんは2名のみ。1人はレジに張り付きのため、なかなかオーダーに来ないし、忙しすぎてオーダーミスも多い。

「いい肉を安く提供する」という趣旨の店なので多少ラフなサービスは許容しているものの、さすがに目に余るものがありました。

中でも酷いなと感じたのが、焼いた肉が放置されていたことで、運ばれてきた際には指定した焼き加減ではありませんでした。そもそも「レア」をお勧めしているのは、焼き時間が少ない(&運ぶまでに時間が経って大丈夫)というビジネス上な理由に思えます。

 

デニー

平日の21時ごろ。そんなに客はいないだろうとの見込みで調理場とフロント合わせて2人シフトだったようですが、思った以上に客がいたのかてんやわんやでした。しかも1名は研修中であたふたでした。

呼んでもなかなか来ない、オーダーしたものもなかなか出てこなかったりと食事を始めるまでの道のりは長く、気が気でなかったので、余程のことがない限り行くのを避けようと思います。

最近はお客さんが減ってきていたように思えるので、コストのためとはいえ、コストを減らしたら、それによって質が下がり、リターンも減る悪循環に陥っているように思えます。

 

ガスト

都内でのライブ前に行った満席のガスト。フロアの店員は3名だったのですが、2名のやる気は明らかに低く、1名が孤軍奮闘といった状況でした。

単なる人手不足ではないのですがら人頭は揃っているのに、マネージャーがダメなのか、採用がダメなのか、教育がダメなのかわかりませんが、サービスの質がどうこうよりも、1人に任せてかまけているバイトが目につく状況は到底気持ちのよい状況ではありません。

 

ここに挙げたのは兎にも角にも一例ですが、食べるというのは1日の中でも結構な楽しみです。飲食店のコストカットによる(単に人が集まらない所もあると思いますが)低質なサービスのせいで食事がつまらなくなるのは、お金を払って受けるサービスとは思えませんし、数多くの選択肢がある中でリピートしようとは到底思えないですがら。

コストカット→サービスの質低下→リターンの低下が起こっているならば、安直にギリギリ以下の人頭でサービスを運営するビジネスはどうなのかなと思いますし、全体がそうなったときこそ、人がいて、サービスがしっかりしているところに惹かれる消費者が多くなるようにも思います。

2016年から2017年へ

進級において大きなウエイトを占めるテストもひと段落して、テストに追われた10.11月とは一変、年末年始はのんびりと過ごせそうです。

f:id:Ryo_India:20161229091307j:image(ほったらかし温泉近くから撮影)

このどうしようもないブログを初めて2年経ちますが、2年続いてることに驚いています。ある程度の数読んでくださる方がいたり、たまに万単位でPVが跳ね上がったりするのも続いているモチベーションですが、「毎月一本」「書きたいことを書く」というハードルの低さが功を奏しているようにも思えます。

 

ニーズに応えることを書くことも大事ですが、気分転換かつアウトプットが目的なので、今後も書きたいことを書くという方針は変えないようにしたいと思います。今の勉強も将来の仕事も確かな答えを求められるので、そうでない思考回路も持っていたいです。

 

そんな流れで2016年の振り返りと2017年への緩い意気込みを記していきたいと思います。完全なる自己満足ですが、日付が変わるまで働いた社会人時代から医学部に入って2年でどんな変化があったのかちょっと楽しみです。

 

2016年の振り返り

感情をうまく扱えなかった

一言で言えば、感情を抑えるときは抑える、出すときは出すということがシンプルかつ素直に出来なかったような気がします。

求められるスキルセットうんぬんではなく、大人になる過程で感情を扱えるようになることが必要だと思います。確かにキレイごとを言ってしまえば「自分らしく振る舞え」という意見もあると思うのですが、周りの人が過ごしやすい(=間接的に自分も過ごしやすい)ことや世間と向き合っていく上では大事に思えます。

その反面で、どれだけ大人になっても、空気が読めなくても自分を出すときはとことん出していきたいというのは譲りたくありません。常になにがしかを頭の中で考え、腹の探り合いをしてしまう自分にとって、この両立がしばらくの課題です。

 

程度を知った

今接しているものについて、このくらいやれば&このくらいでやれば、こんな結果が出るだろうというのをだいぶ算段できるようになった気がします。人間の気力や体力は無尽蔵ではないので、燃え尽きないためにも程度を知れたことは良かったです。

例えばテストであれば合格点を取るための肌感、作業であれば期日とクオリティを担保するための肌感が挙げられますが、ある程度追い込んでも届かなそうだとなかなかに残念な気持ちにもなります。

ただひとつ、人間関係に程度を知るということは今も、これからもなさそうです。

 

フットワークが重くなった

地理的、時間的なこともあると思いますが、フットワークが重くなったように思えます。

大なり小なりの機会に飛び込むハードルが高くなっていたり、その意欲が落ちているような気がします。それと同時に、とりあえず機会に飛び込んでみるというよりも、その選別が自分の中で出来始めたようにも思います。

 

2017年に向けて

感情をうまく扱う

2016年の反省です。

 

フットワークをやや軽めに

一気に軽くなる感じも、それがベストにも思えないので、少しだけ軽くしたいです。

 

毎日ひとつだけ多く

医学を除くと成長角度はかなり落ちたように思えます。何か長期的なことに取り組むマラソン的なものは苦手で、短期的な追い込む短距離的なものの方が向いているタイプなので、日々やることを終えたら、毎日少しの時間で良いので何かひとつ多くやるというのを日課にしたいと思います。続く気はしませんw

 

目標設定もなければ、現状分析や課題特定は極めて適当で数年前ならフルボッコな振り返りと意気込みですが、やっぱり気楽が1番です。

医療キュレーションメディアについて

ここ数日、DeNAの医療キュレーションメディアが大きな批判を浴びています。DeNAを卒業して、医学の道を進んでいる身としては複雑な心情です。

https://twitter.com/welq_pr/status/802082119552004096

 

身内も多いだけに意見を述べるのは憚られますが、急増している医療キュレーションメディアについて思うことが多々あります。記事やサイトの内容レベルでしか議論されないことが多いですが、少し構造的なものに踏み込んで所感を綴りたいと思います。

 

本件の論点整理

SNSで拡散している記事はこのあたりです。

 

これらの批判記事の内容には正しいであろうことも多い反面で、語弊を招く悪質な内容(DeNAの業績など)も含まれていて、フェアな目で見ることが必要だと思います。

 

これらの記事の主な論点は「記事の内容を恣意的に転用しているのではないか」「記事の内容が誤っているのではないか」「倫理的におかしいSEO対策などを行っているのではないか」という批判がメインであり、読む限りではある程度納得出来るものだと感じました。

 

その反面で、これらの記事は事実を(若干曲解しながら)ピックアップして批判しているに留まり、構造的な背景や問題には述べられていません。批判で留まる限りは物事は何も前に進みませんので、少しこの問題を前に進めたいと思います。

 

医学生としての所感

医学部で学んでいて思うのは、健康や病気について語るのにはかなりの勉強を要するということです。素人がちょっと調べたくらいで到底語れるものではなく、素人が自ら執筆することは勿論、情報を収集して切り貼りするのさえもかなり困難なことです。

 

医学部に入る前はよく風邪を引くなと思った時は原因を探るべく「風邪 繰り返す」などと検索していましたし、多くの方もこうしたワードを検索しているかと思います。

「風邪か」と思うかもしれませんが、風邪様の症状を挙げろと言われても軽症から重症なものまでたくさんあり、かなりの勉強が必要です。しかしながら、世の中には「風邪かもしれないときに〜〜」といった記事で溢れています。

 

医療を語ること

健康や病気は「生命に関わる」「誰しもが不安を抱く」トピックであり、ファッションなどの他のキュレーションメディアとは大きく異なる点です。

 

医療や健康について誰が何を語るのも自由ですが、サービスとして行う以上は「わかりやすさ」「面白さ」などを求める以前に、まず「正しさ」が追求されるべきです。間違った情報を記事にしているのは嘘を広めているのと同じですし、間違った医療情報は生命を奪いかねません。

逆に言えば、「生命に関わる」「誰しもが不安を抱く」ことだからキャッチーな文言や不安を煽る文言に人々は踊らされ、サイトへの集客がしやすいように思えます。

 

医療とビジネス

医療はコストが大きいけど、リターンも大きいから成り立っているものですが、本件についてはそうでない点が綻びを生む最大の理由だと思います。

 医療とビジネスというと嫌悪感を表す方が多いですが、病院経営も創薬もこうしたキュレーションサイトも、価値の対価を貰っている以上はビジネスと考えられるはずです。

 

ビジネスはコストを抑え、リターンを大きくするのが前提です。しかしながらコストを抑えすぎて、質に綻びが出れば消費者は離れていき、リターンは少なくなっていくものです。(ネットの場合はSEO対策などすれば、低質なコンテンツも検索にヒットしてしまう特徴はあります)

つまり、リターンとコストの差額が最大となるように、リターンの値を設定するとともに、コストを調整するこのバランスがビジネスの肝となっているはずです。

 

医療は情報の非対称性が騒がれますが、医療者の情報は専門的で、それが故にコストが高い。さらに専門的な資源は一般的にリターンは大きい(ユーザーが支払うコストは高い)はずで、医療行為でも創薬でも医療機器でもコストは多くかかるけれど、リターンが大きいから成り立っています。

 

医療キュレーションサイトの特性

しかしながら、医療キュレーションサイトではユーザーは無料で見れるわけで、リターンは主に広告。他サイトより広告単価は高いとは思えないため、リターンは一般的なキュレーションサイトと同じくらいかと推測できます。

その反面で、書かれているはずの知識には専門性が必要で本来であればコストは高いことから、リターンとコストの差額が少なくなることが予測できます。

 

こうした課題を解決するためには、専門家を介さないことなどで質が落ちるであろうコストの抑え方をするか、よりキャッチーな見せ方で集客を増やすなどでリターンを大きくするのが辿り着く答えなのではないかと思います。

他のトピックであれば質が落ちようがケバケバしい見せ方でも良いと思うのですが、医療に限っては超えてはいけないラインがあるはずで、今回に限ってはそこを下回ったと感じた人が多かったのではないかと思います。

 

最後に

個人的には医療キュレーションサイトなんてなくて良く、しっかりとした医療サイト(病院、学会、家庭の医学など)で分かりやすいページへの疾患や病態別のリンク集があれば十分だし、よっぽど有用だと思っています。

とはいえ、ビジネスになり得る分野である以上、医療キュレーションサイトの出現は拒めるものではありませんし、出現した以上はまともなサイトが発展して、ダメなサイトは淘汰されれば良いと思います。

 

自分は仕事が全然出来ずに迷惑をかけっ放してでしたが、DeNAで働いていて感じたのは、ここまで社員は優秀で、ビジネスに対して実直で、社内政治や階層がなく合理的な組織は日本でも稀有だということです。

医療キュレーションサイト問題はどこかで炎上すると予測できた中で、今回はDeNAのサービスに問題があり火を噴いたわけですが、DeNAだからこそこの難しい領域において良質で健全なサービスを提供できると思いますし、そうなることを医療界にいるOBとして強く望みます。

 

というわけでテスト勉強に励みます。

 

どんな医者に診てもらいたいか考えて医学生生活を送る

自分が患者なら、「知識がある」「手技が上手い」「人間性に秀でている」医者に診てもらいたい。これが本音です。

 

医学部で勉強していると本当に色んな学生がいます。

四六時中勉強している学生、部活や課外活動に取り組みつつそこそこの成績を収める学生、授業も出ずに追試でギリギリ受かっていく学生と本当に様々です。

 

医学部は本試験で満点を取ろうと、再試験で合格点ギリギリを取ろうと、合格してしまえば進級して、国家試験に通れば、やがて医者になります。そして、一度医者になってしまえば、どんなにダメであろうと衰えようと医者です。

 医者は資格職であり、資格はベースラインを担保することが最大の目的だと思うので、そこにとやかく言うつもりはありません。(制度的には頑張った学生が特別報われることもありません)

 

加えて、医療が特殊だと言える点が

  • 生命に介入する点
  • なのに、情報の非対称性が高い点

です。

 

患者さんは医師を選ぶことが出来ませんし、選べても十分な情報ではないと思います。真面目な医者かもしれないし、必要最低限だけやればいいという医者かもしれない。能力が高い医者かもしれないし、そうでないかもしれないです。患者さんはそれが分からない相手に身を委ねるわけです。

 

医療は一般的なビジネスの世界とは違って競争原理が働かないからこそ、医療を提供する側の自助的な努力によって質が担保されたり、引きあがるのが現状だと思います。

こうしたことを鑑みて、安全を保ちながらも質や効率性が向上していく制度が大事であると思うとともに、一個人としても「知識がある」「手技が上手い」「人間性に秀でている」医者に近づけるよう、ギリギリで通ることを目標とせずに、医学生生活を送りたいと改めて思うのでした。